休職初日 夫の症状は急激に悪化した
休職初日。
私たちにとっては、長い長い最後の1週間を終えて、ようやくたどり着いた安息日でした。
これで何もかもから解放される。これでもう追い立てられずに済む。
肩の荷が下りたような気持ちでした。
しかし、目覚めてみるとそこには期待とはかけ離れた世界が待っていました。
朝、目覚めた夫の目はうつろ。
話しかけても声を出して答えることができず、「うん」とうなずくのがやっとの様子。午前中いっぱいはうずくまったままで起き上がれません。
何かに苦しめられている気がするのか、
ときどきクッションに顔を埋めて「うーー」と低いうなり声を上げることもありました。
食欲も一気に落ちてしまいました。
それまでは食欲がないものの一応食べていた固形物がまったく食べられなくなり、
ゼリー状飲料を1日に2本飲むのがやっとでした。
外出もできなくなり、家のソファに座って一日を過ごしました。
あっという間に人間らしさがなくなっていくその姿は、
引きずられるようにして日常の流れにしがみついていたのが、
力尽きて岩から手を離した瞬間に引き剥がされ、川の急流に流されていくようでした。
「どうして、やっと休めたのにこんなに悪くなるんだろう」
「やっと元気になれると思ったのに」
夫も私も、首をかしげるばかりでした。