うつのパパでもいいですか?

うつ病の夫との生活と子育て

「パパはうつ病」と、子どもにカミングアウトするべきか?

うつ病で休職することになったとき、夫が真っ先に私にきいたのが「明日から家にずっといることになるけど、子どもたちになんて言おうか?」ということでした。もしも「なんでパパはおうちにいるの?」と聞かれたら、なんと答えようか?なんとも難しい問題です。

朝、登校時に一緒に出勤していたパパが、あるときから電車に乗らなくなった。学校から帰ってきても、なぜかもう家にいる。小学生の子どもなら、きっとその変化に気づくことでしょう。

 

「言わなくても、あの子ならなんとなくわかっちゃうだろうから、だったら先にちゃんと話しておいた方がいいかな?」

 

と夫は言います。

 

確かに。わが子は空気を読むことが多く、親が具合が悪そうなこともよく察知するし、そんなときには「大丈夫?」といってくれる。寝ていれば氷枕やひざかけをもってきて、かいがいしく看病してくれる。

 

そんな健気な子に対して、嘘をつきたくない。

 

でも、「パパは病気で仕事をお休みしているんだよ」と言ったら、子どもはどう思うだろうか?

 

すごく心配するだろう。

夫は家にいれば、多少の気持ちの揺らぎはありながらも、日常生活を送れています。(まあ、本当は家事や子どもの相手がしんどくてできないことが多いけれど、私がやっていれば子どもには気づかれない程度のことが多い、というのが正直なところだけど。)

うつだって、子どもにとってはいつものパパではいられる。

 

それを、わざわざ「病気だ」と伝えてしまうと、いらぬ心配をさせてしまうのでは?という懸念がありました。

 

また、夫にとっても、子どもにカミングアウトするのはハードルが高いようでした。

「言った方がいいかな?」と私に問いかけはしたものの、どちらかというと決心が付かないような表情でした。

 

父親である自分がうつ病で弱っていることを、子どもに伝えなきゃいけないことは、夫にとって大きなストレスにもなりそうでした。

 

子どもに伝えることは、現状を

パパなのに病気になった、

パパなのに仕事を休んでいる、

パパなのに一日中おうちで休んでいる、

という事実に変換して言語化しなきゃいけなくなるわけで、

それは夫の自尊心を傷付けることにもなるからです。

 

だから、私は「言ったほうがいいよ」とは言えませんでした。

 

結局その後、まだ子どもにはパパがうつ病であることは伝えていません。

 

夫もまだ、伝える決心がつかないようです。

 

先日、受診のためにいつもとは違う時間に病院へ出かけようとしたパパに、

子どもが「どこいくの?」と聞きました。

 

夫は少し考えてから

「ちょっとお出かけ」

といって出て行きました。

 

復職するまでに伝えるときが来るのか?

それとも、

このまま何も言わずに復職を目指すのか?

 

どちらになるかはわかりません。

 

そして、どちらが正しいのかも、わかりません。

 

いまは、子どもたちにとっていつものパパでいられれば、

それだけで十分な気がします。