うつのパパでもいいですか?

うつ病の夫との生活と子育て

うつ休職から復職への第一歩 リワーク施設の見学

うつ病で休職してから10日ほどがたったとき、夫が「誰かと話したい」と言い出しました。毎日家で休んでいると、家族以外に誰とも話さない。はじめはそれがよかったけれど、だんだんと「これでいいのだろうか?」と思い始めたといいます。同じような立場の人とコミュニケーションを取りたい。そう言って扉を叩いたのが、メンタル疾患を抱える人向けのリワーク施設でした。

リワーク施設は、おもにうつ病など精神疾患によって仕事を休職している人が、復職に向けたリハビリを行うところです。復職支援施設、精神科デイケアとも呼ばれ、精神科のある病院やメンタルクリニックに併設されているのが一般的です。

 

夫が受診しているメンタルクリニックにも、リワーク施設が併設されていました。でも治療のために通院しているときには、リワーク施設があることはなんとなく知っていても、遠い存在に感じていました。どんなところなのかも、全く想像が付きませんでした。ちょっと異世界というか、入ってはいけないところのようなイメージも、正直ありました。

 

でも、うつ病で休職して、家と公園くらいしか行くところがなくなってしまった夫には、どこか居場所が必要でした。そこで主治医の先生に相談してみると、併設のリワーク施設を見学してみたら、という話になりました。

 

リワーク施設の見学

一人で見学して説明を聞くのが心配だという夫について、私も見学に同行することにしました。

 

クリニックと同じビルにあるリワーク施設は、外から見るとまったく存在に気づきません。受診のときと同じ待合室で待っていると、施設のスタッフの人が迎えに来てくれました。

 

このリワーク施設には、おもにうつ病で休職している人が、復職するまでの間、定期的に通っていろいろなプログラムに参加しているそうです。プログラムは仕事上で必要な基本的なスキル、コミュニケーションの練習、集中力を高めるなど、職場で求められることを少しずつ経験できるように設計されているようで、毎日午前・午後の時間割が決まっています。週に2~3回程度参加する人もいれば、毎日通う人もいて、その人の症状・回復度合いなどによって決めるそうです。

 

まず入ったのが作業スペース。しーんと静まりかえった空間に10人ほどの人がいて、3列ほど並べられた長机に向かっています。集団で同じことをするプログラムに参加しないときに、このフロアで過ごすそうです。本を読んでいる人、ノートに何かを書いている人、パソコンをしている人・・・・・・。それぞれが自分のペースで自分のタスクを進めています。窓際にはソファがあって、座って外を眺めている人もいます。

 

次に見たのが、集団で参加するプログラム。その日は運動のプログラムを行っていて、十数人が集まって卓球をしていました。2人がゲームをしている周りで皆が審判役をしたり、ポイントを黒板に書き込んだり。点が入ると「おぉー!!」と大きな歓声があがります。見ただけではうつ病の人たちとは全くわからないほど、楽しそうです。

 

そして、施設の利用方法を説明してもらうために、面談スペースに通されました。スタッフの人が、夫の症状や家での過ごし方をヒアリングして、プログラムの時間割のこと、どれくらいの頻度で通うか、主治医の先生との連携のこと、また費用の説明もしてくれました。

 

思いのほかアクティブなプログラムに見えた私には、夫がついていけるか心配でしたが、意外にも夫はやる気満々です。唯一、「卓球は苦手なんですけど・・・・・・」と運動には後ろ向きでしたが、「明日から来てみたいです」と参加を即決しました。

 

「では、まずは体験してみましょう。」

 

スタッフの人に背中を押されて、体験の予約をして帰りました。

 

こうして、復職への第一歩を踏み出すことになりました。